「ダートは芝と比べて高齢馬でも活躍できる」という話が本当か調べてみた


芝のレースに比べ、ダートレースは高齢馬でも活躍できるという話を聞いたことがある。ダートの方が芝よりも脚元の不安が少ないため、長く活躍できるというのが理由である。

ただ怪我の心配ははともかくとして、心肺機能は年齢と共に落ちていくという事実は芝馬、ダート馬を問わない筈である。
【参考】年齢が競走馬の競争能力に与える影響について

それならばダートなら高齢馬でも活躍できるというのは眉唾のように思うのだがいかがであろうか?というわけで調べてみた。


■芝の重賞
・出走馬の平均年齢:5.4歳
・1着馬の平均年齢:4.9歳
・1~3着馬の平均年齢:5.0歳

■ダートの重賞
・出走馬の平均年齢:5.6歳
・1着馬の平均年齢:4.9歳
・1~3着馬の平均年齢:5.2歳

※2007.1~2016.12:2歳限定・3歳限定の重賞を除く


ややダートの方が高齢でも活躍しているように見えなくもないが、その差はそれほど大きくなく、予想をするうえで、「ダートは高齢馬でもOK」と言えるわけではないことが分かるだろう。

やはり当初の想定通り、サラブレットである以上、芝馬であろうがダート馬であろうが、加齢には勝てないという事かと思う。

まとめ
・ダート馬は芝馬よりも高齢でも活躍できるというのは嘘


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馬場ごと(良、稍重、重、不良)の枠番別成績を調べてみた


読者の方からリクエストを頂いたので、馬場ごと(良、稍重、重、不良)の枠番別成績を調べてみることにした。

まずは芝での結果である。

■芝・良馬場における枠番別成績
枠番別成績(芝・良)

■芝・稍重馬場における枠番別成績
枠番別成績(芝・稍重)

■芝・重馬場における枠番別成績
枠番別成績(芝・重)

■芝・不良馬場における枠番別成績
枠番別成績(芝・不良)

馬場が悪くなればなるほど、内枠の成績が良くなり、外枠の成績が悪くなるという傾向が見て取れるだろう。


次にダートでの結果である。

■ダート・良馬場における枠番別成績
枠番別成績(ダート・良)

■ダート・稍重馬場における枠番別成績
枠番別成績(ダート・稍重)

■ダート・重馬場における枠番別成績
枠番別成績(ダート・重)

■ダート・不良馬場における枠番別成績
枠番別成績(ダート・不良)


ダートの場合は逆に馬場が悪くなるほど、内枠の成績が悪くなり、外枠の成績が良くなるという傾向が見て取れる。※不良馬場では内・外の差がなくなるが…


上記の現象が起こる理由であるが、馬場状態による脚質の有利不利が影響しているものと考えられる。詳しくは「重馬場になると逃げ馬・先行馬が有利というのは本当か?

芝にしろ、ダートにしろ、先行有利になるほど内枠の成績が上がり、差し有利になるほど外枠の成績が上がるということかなと。

まとめ
・芝レースでは馬場が悪くなるほど内枠有利
・ダートレースでは馬場が悪くなるほど外枠有利。ただし不良は除く


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骨折が競争能力に影響を与えるのか調べてみた


競走馬が骨折をした場合、骨折前ほどのパフォーマンスは望めないようなイメージがなんとなくではあるのではないだろうか?

というわけで、実際の所どうなのか調べてみた。

で見つけたのが、次のデータ。

疾病の予後統計
※データの出所はJRA競走馬総合研究所。
※画像は「おら一口馬主さ始めるだ」様より拝借


これを見てわかるのは、骨折は屈腱炎ほど絶望的な疾病ではないこと、中手骨、中足骨の骨折は競争能力の低下を齎しそうだが、第1指骨の骨折は気にしなくてよいということだろうか。
※獲得賞金は現役期間の長さにも影響されるため、疾病による離脱期間の影響のほうが競争能力の低下の影響よりも大きいかもしれない。

馬体骨名称


また、「『ドゥラメンテ秋断念 3歳馬の骨折と今後への影響』JRA競走馬研究所」という記事の中に3歳時における骨折について言及している箇所があったので、引用しておく。
なお、記事には他にも色々と面白い内容が含まれているので、興味がある方は目を通されると良いだろう。


赤見 繰り返しになるのですが、若い時期の骨折というのは、成長過程で起きうることと考えると、特に影響は考えなくていいと?

高橋 そうですね。腕節の骨折の場合、骨片が小さくて、きれいに取れていれば、そう言っていいと思います。きちんと手術をしてある程度の休養を取っていれば、腕節がずっと腫れたり、大きな骨膜が出るということもあまりないのかなと思いますね。


以上が調べた結果である。

骨折明けの競争馬の取捨に悩まれる方の参考になれば幸いだがどうだろうか。

まとめ
・骨折は屈腱炎ほど競争能力に影響を与えない
・骨折の箇所によって競争能力への影響は異なる
・中手骨、中足骨の骨折は競争能力低下の傾向がある
・第1指骨、第1趾骨の骨折は競争能力への影響は見られない
・3歳時の骨折は競争能力への影響は小さい 


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パワーが必要と言われる洋芝開催の函館・札幌競馬場で牝馬の競争成績を調べてみた

洋芝は一般的に力がいる馬場と言われる。

洋芝は野芝と違い、匍匐茎というものを持たないのが理由らしい。

匍匐茎とは茎の側面から根や枝を出し 長く地を這ってから根を下ろし そこから芽を出す事だそうだ。
そのため野芝を利用した競馬場では地面の中で広く根を伸ばし固い路面が作られ、スピード勝負になりやすい。

一方で、洋芝を利用した函館競馬場や札幌競馬場では、路面が柔らかくなるために、踏ん張りが利き辛く、パワーが必要とされるらしい。

そう考えると、「牡馬と牝馬の違いについて調べてみた」でも書いた通り筋力が劣る牝馬にとって、函館競馬場や札幌競馬場は鬼門になるのではと思い、調べてみることにした。


■牡馬の全競馬場成績
競馬場別成績(牡馬)
※2006.1-2015.12

■牝馬の全競馬場成績
競馬場別成績(牝馬)
※2006.1-2015.12

結果は見事に真逆であった。

牝馬にとって函館競馬場や札幌競馬場は得意な条件であるようだ。

理由としては「「夏は牝馬を狙え」という格言が実は本当だったという話」で書いた通り、牝馬は夏に強く、函館・札幌開催が夏に行われるという点が考えられる。

また、「牝馬の得意・苦手コースを調べてみた」で書いた通り、牝馬は短距離のほうが得意ということも影響していると考えられる。
(函館・札幌では1000m、1200m、1500mとマイル以下の距離でのレース施行が多い。実際、短距離戦のほうが成績は良いことは確認できた。)

というわけで、函館や札幌は洋芝だからといって、牝馬を軽視する必要はないというのが結論である。
(洋芝適性って何だろうと思うが、まあそれは別途考察することにする)

まとめ
・牝馬は函館・札幌競馬場で好成績
・夏開催というのと、短距離戦が多いというのが理由と考えられる


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「夏は牝馬を狙え」という格言が実は本当だったという話

「夏は牝馬を狙え」とは昔から夏になると風物詩のように聞かれる競馬の格言である。

理由としてあげられているものは下記のような所だろうか。

・体温調整が牡馬より上手で、暑さに強い
・夏は発情の時期のため、競争能力が上がる(??)
・強い牡馬が休養して不在
・平坦な地方競馬場での開催のため、非力な牝馬でも活躍できる


で、今回、この格言が本当か調べてみたところ、『馬も熱中症になるの!?“夏”にまつわる疑問特集』JRA競走馬研究所という記事にて詳細に取り上げられていたので紹介したい。

※ちょっと長くなるがご容赦いただきたい。


高橋 夏に関することで、よく「夏は牝馬を狙え」と言われますが、それを裏付けるデータが出たんです。この資料、牝馬限定戦を除いた複勝率の推移なのですが、牝馬の複勝率が夏に上がるというのが出ました。

夏は牝馬1
▲表(1) 牝馬限定戦以外の複勝率

赤見 ダートも芝も、5%くらいアップしていますね。

高橋 ええ。これまで、要因として言われていたのが、ローカル場は平坦小回りなので、力のない牝馬でも勝てるということでしたから、4大場とローカル場を分けて調べてみたんですけど(3歳4歳以上、牝馬限定戦以外)、両方とも同じ傾向なので、場所が原因ではないと考えられます。

夏は牝馬2
▲表(2) 牝馬限定戦以外、3歳上、4歳上競走のみ対象の複勝率

もうひとつ、一線級の牡馬が休養しているので牝馬でも勝てるという考えもありましたので、2歳3歳の新馬未勝利戦のみで調べたんですけど、やはり同じような結果になりました。

夏は牝馬3
▲表(3) 牝馬限定戦以外、2歳、3歳新馬・未勝利競走のみ対象の複勝率

赤見 基本的にサラブレッドは冬、寒い所のほうが体調を整えやすいと考えていいんですかね?

高橋 もともと草原地帯に生息していて、そこは暑くはならない所ですので、寒いほうが得意だと思いますね。ただ、牝馬の方が暑さに強いとか、性差と暑さについては調べたんですけど、なかなかデータとしては出ていないんです。

ひとつ仮説として考えられるのは、この時期、牝馬は発情の期間なんですね。繁殖の専門家によると、6月くらいに発情がピークになり、9月くらいまで発情の周期は回っているそうなんです。

赤見 9月まで続くんですか!? てっきりもっと早く終わるのかと思っていました。

高橋 そうですよね。私ももうちょっと早いんじゃないかなと思ったんですけど、どうもそうではないみたいです。発情周期が回っていて卵巣が活動しているのが、穏やかながら9月頃まであるとしたら、その影響というのも考えられるのかなと思っています。

それには、ホルモンが関係しているのかなと思うんですよね。性差の基本はホルモンが違うということなんです。なので、この結果を見る限り、発情周期が回っているほうが出せる能力が高まるのかなという気がしています。

赤見 牝馬の発情は、競走能力を下げるイメージでした。よく、今フケだから~的なことを耳にしますので。

高橋 発情とフケはあまり関係がないようです。発情周期が回っている中で、発情している状態と競走能力の関係についてははっきり分かりません。

赤見 私のイメージなんですけど、牡馬は使いながら徐々に良くなっていくけども、牝馬はいきなり良くなることが多い気がするんです。

高橋 たしかに、牝馬は劇的に変わることってありますからね。先ほどの表(3)をもう一度見ていただきますと、2歳の7~9月から3歳の7~9月までの1年測定していまして、ちょうどデビューする頃の2歳の7~9月は、牡馬も牝馬もあまり差がないんですよね。そこから、牡馬はあまり変動がないのに対して、牝馬は2歳の冬から3歳の春にかけて、下がるんです。それだけだったら早熟だという可能性もあるんですけども、3歳の7~9月に盛り返してきて牡馬に接近しているという、そこがポイントなんですよね。

赤見 1年を通じて見て見ると、季節的な変動として見えてくる。

高橋 そうなんです。ちなみに、競走馬全体として見ると冬は足が鈍くなって、夏の方が速く走れることがわかっています。牡馬牝馬問わず、総じて2月ぐらいが底になって、7~9月が一番速く走れるんですね。

夏は牝馬4
▲表(4) 5歳以上の競走馬において、年齢、競走条件、開催場、および距離の影響を考慮したときの走行速度と季節の関係(芝1200m、1400m、1600m、1800m、2000mのデータを使用)

 なので牡馬も、能力的には夏場にかけて走るスピードは上がるんですけども、牝馬の方がより顕著に上がるという感じなんです。逆に、牡馬は冬場でも走る能力の落ち込みが少ないんですね。

赤見 なるほど。牝馬は落ちているところからの反動だから、夏場の上がりが大きいということなんですね。やっぱり、夏の牝馬は侮れない! 一方の牡馬は、1年を通すと波が少ないんですね。


いかがだっただろうか?

平坦な地方競馬場での開催だから牝馬が強いのでは?と思っていたが、どうやらそうではないらしい。

非常に面白い内容だと個人的には思う。

なおこのコラムは他にも色々と面白い内容が書かれているので、競馬ファンの方はぜひご一読いただきたい。

まとめ
・夏は牝馬が強いというのは本当
・理由は定かではないが、平坦が良いからというわけではなさそう


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